(1)亜鉛の腐食による表面変色
(2)低温熱処理による表面変色
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  『バネの変色及び色調の変化について』  [PDFファイル 19KB]

 (1)亜鉛の腐食による表面変色
 マックワイヤーの表面は電気亜鉛めっきを施しています。亜鉛は両性金属であり、酸及びアルカリの両方に反応します。したがって湿気、汗、水気、水蒸気、潮風などの腐食促進物質や酸気、塩素ガス、亜硫酸ガスなどの酸性腐食雰囲気に晒されますと亜鉛めっき表面が腐食され白錆(塩基性炭酸亜鉛)が発生します。一般には前者の場合には塊状に灰黒色に変色し、後者の場合は全体的に均一に変色しているのが通常です。

 この白錆の防止方法としては六価クロムを主成分としたクロム酸処理を施すのが一般的でしたが、使用禁止物質に指定されて以来、一般的には採用されていないのが現状です。

 マックワイヤー表面の亜鉛めっきは開発当初よりクロム酸処理は一切施していません。ワイヤー表面は純亜鉛めっきです。したがって腐食促進物質や腐食雰囲気に晒されますと白錆の発生は避けられないことをご理解頂き、使い残された場合にはビニール袋に密閉するなど、適切な管理をお願い申し上げます。
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 (2)低温熱処理による表面変色
 ばね成形後の低温熱処理前と比べて熱処理後にバネ表面に変色、色ムラの起きる要因としては以下の3点が考えられます。

  @ 250℃以上で熱処理され、めっき表面に素材鋼の鉄分と亜鉛との熱拡散層(合金)
    が表れた場合。
  A めっき表面に汚れを伴った油及び潤滑油被膜が付いていた場合。
  B めっきの剥離などが有り、素材の鋼が露出していた場合。

上記の3点の要因について、以下に詳しく説明致します。

@ 250℃以上で熱処理され、めっき表面に素材鋼の鉄分と亜鉛との熱拡散層(合金)が
  表れた場合

 熱処理温度250℃を超えると素材の鉄分が亜鉛めっき層に拡散を始めます。その速度は温度の高さに比例し、温度が低い場合でも熱処理時間の経過と共に進行します。拡散層がめっき表面に至った場合にはバネ表面の色調は黒っぽく変色し光沢もなくなります。中途半端に拡散した場合にはバネ表面は色ムラになります。逆に熱拡散することによりめっき層は亜鉛・鉄合金めっき層となり、素材鋼に対する防食性は若干向上します。

 したがって250℃以下での熱処理の場合には熱拡散は起きないため、熱処理時間に関係なく熱処理前の色調、光沢を維持できると言えます。この場合、熱処理炉の温度分布のバラツキなどを考慮して240℃以下での熱処理をお勧めします。


A めっき表面に汚れを伴った油及び潤滑油被膜が付いていた場合

 @項で説明しましたが、250℃以下での熱処理の場合には基本的には色調、光沢に変化はないと言えますが、ワイヤーのめっき表面に汚れを伴った油及び潤滑油被膜が付いていた場合には熱処理時にこの汚れが炭化して色調、光沢の変化及び色ムラを引き起こします。

 マックワイヤーはめっき後に伸線して仕上げるといった方法を採用しています。その際水溶性潤滑油を使って伸線しています。冷間伸線加工において潤滑油を使うことは必要不可欠であり、仕上り線の表面には潤滑油の油膜が残ります。伸線潤滑液を交換した時は線表面に残る潤滑油膜は無色透明の綺麗な状態ですが、伸線の経過と共に劣化した潤滑剤が潤滑油膜内に取り込まれて表面の色調が徐々に汚れていきます。この汚れが低温熱処理時に炭化してめっき表面の色調に変化を引き起こしているものと思われます。

 潤滑油膜の汚れに対する対応策として、以前は90日位で潤滑液を総替えしていたのを、現在は45日位に短縮しています。これにより潤滑液の交換前と交換後のめっき線表面色調の差は以前に比べ随分小さくなりましたが、基本的に色調不揃いについては不可避的な部分でもあり、全て同一色調に統一する事は難しいと言えます。色調に不揃いがあるからといったお客先からの返品、選別、保障などのクレームには対応していなく、また対応出来ないのが現状です。また更なる潤滑液交換期間の短縮については廃液処理などを含めコスト的に限界です。ご理解のほど宜しくお願い致します。

 尚、潤滑油膜の汚れについては、めっき層及び素材鋼に対して悪影響を及ぼす物質ではない為にめっきの耐食性を含めバネ機能などに問題を引き起こすことは考えられません。
どうしてもバネ表面の色調の差に重点を置かれる場合には、バネ成形後の低温熱処理温度を可能な限り低くすることにより、めっき表面の汚れが炭化するのを少なくする事によって色調の差を少なくするといった方法も一考願えれば幸いです。(例えば190℃〜200℃での熱処理により、表面汚れの炭化を相当押さえ込む事が可能と思われます。)


B めっきの剥離などが有り、素材の鋼が露出している場合

 めっき剥離、バネ成形時の表面カジリなどにより素材鋼の露出している部分はバネ成形後の低温熱処理による素材鋼の酸化被膜(テンパーカラー)によりバネ表面が黒く変色します。

 めっき厚さが0.3μ以上あれば素材鋼の酸化被膜(テンパーカラー)は出来ないと思われます。したがって、めっき厚さが薄いから変色するといったことは考えられません。

 マックワイヤーは電気めっき方法を採用しています。したがってめっき剥離の原因はめっきの密着不足であり、めっき前処理工程にあるものと考えています。

 ご承知の通り、マックワイヤーは中間材で電気めっき処理を経た後、次工程の冷間伸線加工により所定の強度を得ると共にバネ材として必要な諸条件(線グセ、線径公差、表面状態など)に仕上げる方法を採用しています。めっき処理を経た時点では表面は全てめっき層で覆われています。この時点でめっき密着不足箇所を確認し摘出する事は不可能であり、次の冷間伸線ではめっき層にとっては非常に過酷な加工となります。ほとんどの場合めっき剥離無しにめっき層は伸びますが、極稀ですが過酷な加工に耐えられずに伸線機内でめっき層の剥離が起きる場合があります。その原因は局部的なめっきの密着不足にあるものと考えています。したがって仕上げられたワイヤーは極一部分でありますが、伸線機内でめっき層が剥離してめっきの付いていない箇所が混入していることもあると考えられます。また伸線機は高速であり、また細いワイヤーに仕上げられている為に不良部分を確認し摘出することも不可能な状況にあります。

 めっきの密着不足の原因は、めっきの前処理工程(脱脂、酸洗い、水洗)にある事は承知しています。今以上にこの工程に時間を掛ければ解決可能と思われますが、それが過ぎると高強度材にとって最も懸念される水素脆性の心配がある為に、この方法を採用出来ないのも現状です。

 お客先からはめっき不良の無いパーフェクトなワイヤーを供給出来ないかとの要望もあります。今後とも問題解決に努める所存ですが、今のところ解決出来る手立てはなく、今後はパーフェクトなワイヤーを供給しますと約束できる状況にないのが現状です。

 お客先からのクレームでめっき不良の占める頻度は極僅かで限定的であり、またその数量も選別出来る範囲であるように伺っています。お客先に対しては歩留まりの範囲内とお考え頂き、ご容赦頂いているのが現状です。ご理解の程、宜しくお願い致します。

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